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地球の履歴書

 

大河内直彦さんによる「地球の履歴書」を読んで先ず思い出したのは、大学教授でありSF作家であったアイザック・アシモフの数々の科学エッセイ。専門家が豊富な知識を体系的に整理して素人である読者が理解可能な形で提供するという点が共通していて、小生としては、このような本に出合うと、素晴らしい景色を見た時と同様、心が洗われる気がします。印象に残ったのは以下の3点。

 

先ずは、「メッシニアン塩分危機」と呼ばれる地中海が干上がった事件(P.169)。533万年前まで60万年あまりにわたって地中海が何度も干上がり、そこに海水が流れ込んでは乾燥するということを繰り返した結果、地中海の海底には厚さ2〜3kmの塩が堆積している。地中海が干上がってできあがる塩の層は1回あたり30m程度ということは、百回近くも流入、乾燥が起きた訳で、当時の気温の変化や地殻変動の凄さは想像を超えたものだったんでしょう。

 

続いては、氷河期の海面低下の話。2万年前は現在よりも130〜140m海面が低く、東京湾の殆どは陸地であり(九州、四国、本州、北海道は陸続きだった)、その中央部には現在の東京、千葉、神奈川を流れる河川を集めたような巨大河川「古東京川」が出現し、河口は三浦半島の先端近くの久里浜沖であった(P.143)。その後、1万4500年ほど前には5cm/年ほどの急な海面上昇があり(5cm/年の上昇が2800年続けば海面は140m上昇するし、関東平野の一部が海と化した6500年前の縄文海進を加えればそれ以上の海面上昇だった)、当時の人々が海水に追われる様子を想像するだけでも恐ろしい自然環境変化です。

 

最後は、1912年(大正元年)に南極点に到達したものの、ノルウェイの探検家アムンセンに先を越され、失意のまま帰路ベースキャンプの11マイル手前で遭難した英国の軍人 Robert F. Scott の最後の日記。本著には、最後の書き込みとなった3月29日の頁と簡単な和訳が掲載されているものの(P.126)、英語を判読できず、ネットから入手した全文を掲載します。人生の最後の瞬間に、自分が置かれた状況や気持ちをこのように冷静に記録できるものだろうか。

 

We had fuel to make two cups of tea apiece and bare food for two days on the 20th. Every day we have been ready to start for our depot 11 miles away, but outside the door of the tent it remains a scene of whirling drift. I do not think we can hope for any better things now. We shall stick it out to the end, but we are getting weaker, of course, and the end cannot be far. It seems a pity, but I do not think I can write more -

             R. SCOTT

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For God's sake look after our people

 

地球の履歴書


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| すうさん | 08:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
宇宙エレベーター

 

佐藤実さんによる「宇宙エレベーター」とは、地上36,000kmの静止軌道上に設置された静止軌道ステーションを貫く地球から宇宙空間に10万kmほど伸びたケーブルに沿ってクライマと呼ばれる運搬機械が上下することで、地球から宇宙へ、宇宙から地球へ人や物資を運ぼうというエレベータ(軌道エレベータとも)についての入門書です。

 

静止軌道ステーション手前のケーブルには地球との間の引力の方が、以遠のケーブルには遠心力の方が強く働くために全体としてバランスがとれていて、ケーブルは地球に落ちてこないということなのですが、実現に向けた課題は長さ10万kmもの丈夫なケーブル(ケーブルにはたらく引力と遠心力の総和がゼロとなる長さを積分で求めると14万2000kmとなるものの、ケーブルの先端に「おもり」をつけることで10万kmに縮めようとのアイデア)に使う材料がまだ手に入らないということで、これからの数十年での実現は難しそうです。

 

宇宙エレベータ


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| すうさん | 08:17 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
がん放置療法のすすめ

 

最近読んだ「どうせ死ぬなら「がん」がいい」の著者の一人、近藤誠医師による「がん放置療法のすすめ」を一言で表せば「がんは老化現象です。年齢を重ねるなかで遺伝子異変が積み重なった結果ががんなので、年齢が高くなるほど発がん頻度が上がるわけです。そして老化現象だから、放置した場合の経過が比較的温和なのです。ただ本物のがんの場合は、老化現象の究極として、いずれ死を呼び寄せます。しかしその場合も、なりゆきをがんに委ねれば、自然の摂理に従って人生を完結させてくれます(P.199)」でしょうか。

 

放置療法に否定的な医師も多いようだし、この放置療法が全ての人に当てはまらないことは理解しますが、68歳の高齢者としては、がんが見つかったとしても、手術や抗がん剤治療といったがんとの闘いに時間を費やし苦しむのではなく、がんと共に生きつつやり残したことに精一杯取り組めば、最後の人生を充実したものにすることができるのではないかと思うに至りました。

 

がん放置療法のすすめ


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| すうさん | 08:24 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
木遊び

 

木遊び2階の本棚に高田宏著「木遊び」なる本を見つけ、早速読んでみました。中身は、副題「10人の木のおもちゃ作家との対話から」のとおり、いろいろな玩具の写真と作家のインタビュー記事でしたが、あっと驚くような玩具には出会えませんでした。

 

本が出版された1995年当時の作家10名の平均年齢は48.7歳、現在は70.7歳。作家たちはどんな思いで若いころの作品を見ているのだろうか、またどんな作品をこれから作ろうとしているのだろうか、気になります。

 

木遊び


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| すうさん | 08:15 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
どうせ死ぬなら「がん」がいい

 

大分前に読んだ「大往生したけりゃ医療とかかわるな」の中村医師と、未だ読んではいない「がん放置療法のすすめ」の近藤医師の対談をまとめたのがこの本で、前立腺癌の疑いありということで最近精密検査を受けた高齢者として、関心を持ちつつあっという間に読み終えました。要すれば、次のような感じ。

 

■ (血液がんや悪性リンパ腫以外の)固形がん(日本人のがんの9割を占める胃がん、

  食道がん、肝臓がん、子宮がん、大腸がんなど)に抗がん剤は効かない(P.19など)

■ 猛毒の抗がん剤は正常な細胞も傷めるので患者は苦しむし、殆どの抗がん剤治療には

  副作用と縮命効果しかない(P.19)

■ 手術で臓器を傷つけたり取ってしまうことで身体の負担は大きい。がんが痛むのでは

  ない、治療で痛むのだ(P.16 )

■ 検査で見つかるがんの大部分は潜在がん(放っておいても大きくならないがん)か

  「がんもどき」という転移しないし命にも支障のないがんである(P.43)

■ がんを放置すれば少しずつ体力が衰えて、傷んだり苦しんだりしないで、枯れて眠る

  ような自然な死を迎えるし、痛みが出たらモルヒネや放射線などの治療で苦痛を

  取り除ける(P.27 )

■ がんの場合は最後まで意識ははっきりしているのでゆっくりと身辺整理できる(P.13)

 

中でも中村医師の名言は「繁殖期を終えて生きものとして賞味期限の切れた年寄りには「早すぎる死」はない(P.28 )。死に方は生き方で、死は人生の総決算。死んでゆく姿を見せるのは「遺産」だから、この遺産を次に伝えなければいけないと思う。それが最後のぼくの役目(P.205)」。全く同感。暇つぶしをしつつ、人生の最後をどう生きるのかの基本設計が必要です。

 

どうせ死ぬなら「がん」がいい


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| すうさん | 08:11 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
絵地図の世界像

 

応地利明さんによる「絵地図の世界像」は、伝存するいろいろな絵地図から、日本人が持っていた世界像の変化を読み解こうとするもので、日本人の世界像は次のように変化してきたと理解しました。

 

1. 日本のみが描かれた絵地図: 伝存する最古の日本図は14世紀初めに描かれた

  「仁和寺蔵日本図」ですが、7〜8世紀に活躍した僧、行基の名を借りて

  「行基式日本図」と呼ばれることから、行基式の特徴である「米俵を連ねた

  ように国を配する」絵地図は奈良時代から一般的であったと思われる。

2. 近隣諸国も描かれた絵地図: 日本だけでなく近隣諸国も描かれた地図の中で

  最古のものは14世紀初頭から中頃に手書きされた「金沢文庫蔵日本図」であり、

  行基式と合わせ2つの系列があったようだ。

  この絵地図には朝鮮半島から蒙古へ至る実在する国々に加えて、正体不明の

  伝説の国々「雁道(がんどう)」と「羅刹国(らせつこく)」が描かれるのが

  特徴であり、これら「雁道」と「羅刹国」については、18世紀初めに至っても

  夫々「韓唐」、「女嶋」として地図に残っている。

3. 三国世界観: 6世紀前半の仏教公伝で日本人の地理認識は天竺(インド)に

  まで広がり、世界は本朝(日本)、震旦(中国)、天竺で構成されるという

  世界観ができあがった。特に天竺は仏教世界の中心ではあるものの、余りに

  遠く、訪れることの不可能な世界として観念の中に存在する地域であった。

  玄奘三蔵の「大唐西域記」(646年成立)にある情報をもとに震旦で描かれ、

  14世紀に書写され法隆寺に伝わる「五天竺図」よ呼ばれる絵地図では中心に

  天竺が、その外縁に震旦と本朝が描かれている。

4. 欧州発の近世的世界絵地図: 1492年コロンブスの新大陸上陸、1498年

  バスコ・ダ・ガマのインド到着、1522年マゼラン率いるスペイン艦隊の世界

  一周などによる世界地図の近世化と、1549年フランシスコ・ザビエルの来日

  などによる世界地図の将来を踏まえ、日本人の世界観は16世紀に一気に広がり、

  現在に至る。

 

ざっとこんな感じ。人類の長い歴史の中で世界が「略」正確に認識され始めてからまだ500年しかたっていないことに驚きますし、1602年にマテオ・リッチ(中国宣教に成功したイタリア人のイエズス会員、カトリック教会の司祭)が描いた「坤輿(こんよ。大地、地球のこと)万国全図」においてさえ、欧州の北方にある矮人(わいじん)国について「身長1尺あまりにすぎず、5歳にして子を生み、8歳にして老い、羊をもって乗用獣とする」と記されているなど、周縁に向かうと伝説的、空想的な記載があったそうです。

 

では一体、現代において「500年前の世界像」に相当するテーマは何か。分かっているようで分かっていない、伝説的、空想的であることといえば、宇宙についての認識、人間の体や頭脳についての認識あたりなのだろうか。癌に効くと言われる健康食品についての「迷信」などもそうだろうか。でも人類の歴史を見れば、それらが正確に理解される日は確実に来るんでしょうね。

 

絵地図の世界像


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| すうさん | 08:16 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
STAR ORPHAN@少年ジャンプGIGA

 

グレちゃんとジョイ君の飼い主Kさんと電話で話していたら、息子さんの漫画が少年ジャンプGIGAに掲載されていると伺い、50数年ぶりに漫画本を手に入れてきました。「編集部期待の新人による読切9本」の内の1本のようで、タイトルは「STAR ORPHAN」、星の孤児といった感じでしょうか。

 

5年に及んだ星海戦争は「地球消滅」という形で幕を閉じた、という書き出しで始まるこの漫画の主人公は、地球人のたった一人の生き残り「怪盗スター・オーファン」。消滅した地球に存在した184個(P.684。P.693では183個と少々混乱している)の「ジ・アース」と呼ばれる宝物、例えば31番目は「トキワ荘14号室のドアノブ」は一度行った所ならどこにでも行けるというドラえもんの「どこでもドア」のようなシロモノで、これら全てを集めようと宇宙を旅しているのがスター・オーファン。本号では宇宙船に乗って惑星アトラスにやってきて、収集家ペペポ卿所有のジ・アースを奪って次なる地に去ってゆくというお話。ジ・アースが184個もあるということは、話のネタは簡単には尽きないという仕掛けで、続きを読みたくなりました。

 

さてさて、全830+頁に満載の漫画を見ているだけで疲れますが、集英社が発行するのは少年ジャンプだけでなく、このジャンプGIGA、ジャンプクロス、最強ジャンプ、ジャンプコミックスなどなど沢山あり、はっきり言って情報過多。頁数のもっと少なかった少年マガジンと少年ジャンプくらいしかなかった小生の少年時代を懐かしく思い出した次第です。そんな世の中の変化を受け入れ難い高齢者達は、だから誰もが言う訳です「昔はよかった」と。

 

少年ジャンプギガ


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| すうさん | 08:15 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
A Book About Woodturning

 

YKW(Yasushi Kawaguchi Woodturning)の川口さんによる「A Book About Woodturning」は、木工旋盤を使った加工についての百科事典のような大作で、専門的過ぎる部分を外して頁数を半分近くに減らしたものの、それでも分厚い全479頁には木工旋盤など道具のこと、木のこと、削る技術のこと、作例など盛りだくさんです。

 

今回、コナラの生木を使ったボウル作りを教えていただく前にこの本に目を通したところ、一つの作例に何百枚もの写真が添えられるなど、本を見るだけでも何か作り始められそうでした。という訳で、先ずは本で勉強、自分で試してみて、上手くいかないことや分からないことが出てきたら、本の購入者向けに用意された「Book Member Plus」という特別料金の講習会を受講するのがよろしいかと。念のため、本は日本語で書かれています。

 

A Book About Woodturning

 

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| すうさん | 08:09 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
鉄道は生き残れるか

 

先日読んだ「鉄道復権」の購入先Amazonからのお勧めメールに唆され「鉄道は生き残れるか」を取り寄せました。「鉄道復権」が楽観的に鉄道の将来を語るのに対して、この本は帯にもあるとおり、整備新幹線はもういらない、リニア新幹線は作るだけムダ、青函トンネルは閉鎖がベスト、鉄道貨物は日本には必要ない、とショッキングな内容。また、鉄道として今後とも存在可能なのは宇都宮、高崎までの新幹線を含む首都圏のJRと私鉄、東海道新幹線、岡山までの新幹線を含む関西圏のJRと私鉄、札幌、仙台、新潟、静岡、浜松、岡山、広島、北九州、福岡の都市圏だけで、輸送密度2000人未満は地元の合意無しでも、また2000〜4000人は合意があれば廃止しバスあるいはBRTに転換すべき(P.234)と大胆な提案です。

 

「鉄道復権」は2012年3月25日発行、この本が「鉄道復権の幻想」という副題を持ちながら2012年8月20日発行されたということは、この本は「鉄道復権」の楽観論を否定するために短時間にまとめられたものと考えられます。この本の方が数字で裏付けられた情報を図表で示すなど説得力十分なのですが、著者の高説どおりにことが運べば、乗り鉄にとって日本は寂しい国になること確実です。

 

鉄道は生き残れるか

 

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| すうさん | 08:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
鉄道復権

 

新春の山陽山陰縦断の旅のさ中に読んだ宇都宮浄人さんの「鉄道復権」を思い出し出しこの記事を書いています。読後感としては「宇都宮さんの書き方では日本全国で鉄道が一律に復権するような印象を受けるが、そんなことはあり得ず、復権するとしても置かれた環境によってシナリオが異なるのではないか」ということ。

 

即ち、それぞれの地域の年齢別人口密度、公共交通機関の状況、自家用車の普及率、道路の状況、維持管理費用などを総合的に勘案して公共交通機関のあるべき姿を描くことが肝要であり、単純に鉄道の復権を図ることは税金の無駄遣いになる可能性大と感じます。

 

ただし、この総合的判断にあたって、鉄道の現状は改善すべき点も多いことから、上下分離(線路などインフラの維持管理は自治体が、列車運行は鉄道会社がそれぞれ行うこと。道路は行政が税金で維持管理しているのに対して線路は鉄道会社が維持管理しなくてはならないのは不公平だという見方もある)、オープンアクセス(列車運行会社を入札などで選ぶこと)、税制の見直し(税収の一部が公共交通機関に分配されるフランスの交通税やドイツの鉱油税)などヨーロッパの事例も参考に、経済性と利便性の向上施策を先ずは実施した上で、他の移動手段との比較検討に進むべきと思います。

 

鉄道復権

 

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| すうさん | 08:13 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
横浜今昔散歩

 

Amazonで買ったら古本屋が間違えて「大阪今昔散歩」を送ってきたので結局「横浜今昔散歩」と計2冊を手にすることになりましたが、いずれも明治、大正、昭和初期に流行った手彩色の絵葉書と現在の街の様子を比べてみるという楽しい本です。文庫本サイズなので写真が小さいなと思ったら「ワイド版」なるA5サイズのものも売っていることが分かり、少々早まりました。

 

横浜今昔散歩

 

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| すうさん | 08:15 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
頭の体操第1集

 

今年3月に亡くなった多湖輝さんといえば1966年に出版された「頭の体操」の著者として有名で、当時高校生だった小生も何集かは読んだ筈です。Amazonで1円で手に入れたものの、何か違うと感じ調べてみると、1966年版は新書でこの1999年版は文庫本。迂闊でした。

 

さて、「はじめに」にある例題「葡萄酒瓶がある。コルク栓がしてあるのだが、あいにく、栓抜きがない。瓶を割らず、コルクにも穴を空けないで、中の葡萄酒を飲むには、どうしたらよいか」に対して「瓶を温めて膨張した空気で栓を抜く」と考えましたが、栓を瓶の中に押し込むというのが多湖さんの答え。温める方が栓を再利用できるという点で優れていると思うのですが。

 

頭の体操

 

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| すうさん | 08:01 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
東大教養囲碁講座

 

小生の被説得力の強さは半端ではありませんが、つい最近、母のいる老人ホームで、入所者である高段者の所に毎週囲碁を打ちに来られている会社時代の先輩にお目にかかり、暫く立ち話をする内に囲碁を始めてみようかという気持ちと相成り、先輩が勧めてくださった新書を手に入れました。読み始める前の本を当ブログに掲載するのは初めてのことで、それだけ囲碁という深淵な世界を前にしてかなりの興奮状態にあるということでしょう。

 

ネットで調べたところ(一般の碁盤である19路盤を小型化した)9路盤用の囲碁ソフトの存在を知り、早速日本棋院のサイトからダウンロードしてPCと対戦してみたところ、当たり前ながら完敗でした。そのソフトの強さが強烈だった分だけ勉強しようという気持ちに火がつきましたので、熱しやすく冷めやすい、そして案外忙しい老青年の生活に囲碁がどのように入り込んでくるのか、暫く観察してみます。

 

東大教養囲碁講座


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| すうさん | 08:17 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
下り坂をそろそろと下る

初めての平田オリザさん、「下り坂をそろそろと下りる」を読みました。「まことに小さな国が、衰退期を迎えようとしている」という司馬遼太郎の「坂の上の雲」の「出来の悪い贋作(著者)」で始まる本書は、人口減少と経済的停滞の時期を迎えた日本が如何にして急坂を下っていけば良いのか、その処方箋について考えようという内容で、平田さんの答えは次の3つの「寂しさ」を真正面から受け止めるということ。

1. 日本はもはや工業国ではないということ。
2. もはや、この国は、成長はせず、長い後退戦を戦っていかなくては
  ならないのだということ。
3. 日本という国は、もはやアジア唯一の先進国ではないということ。

具体的対策として小生が理解したことは次のとおりで、いずれも「教育」が大切であり、教育の中身を練って、時間をかけ対応していくこととなります。

1. 工業国ではないのだから、「基礎学力を身につける工業立国の教育」よりも
 「コミュニケーション能力や表現力を育む教育」が重要となる。
 小さな島国が国際社会の中で生き延びるには「コミュニケーション能力」、
 すなわち「異なる価値観や文化的な背景を持った人々にきちんと自己を
 主張し、また他社の多様性をも理解する能力(P.33)」が必要であり、
 そのために教育が資するところ大である。

2. 成長が期待できないということで、稼いだお金を地域の中で大事に使うことが
  重要で、エンゲル係数が低い日本においては農産物の地産地消よりもソフトの
  地産地消が必要となる(ソフトの地産地消とは、自分たちで創り、自分たちで
  楽しみ、自分たちで消費する、即ち地域住民のお金を東京資本に吸い上げられ
  ないようにすること)。
  東京一極集中ではなく地方の活性化が必要であるが、工業団地を作って企業
  誘致を図り雇用を創出したり、公営住宅を整備しても若者たちは戻ってこない。
  町を面白くして若者たちをひきつけるためには「文化資源」の充実が必要で、
  そのためには「文化の自己決定能力」が大切となる。この能力は「自分たちの
  誇りに思う文化や自然は何か、そこにどんな付加価値をつければ、よそからも
  人が来てくれるかを自分たちで判断できる能力(P.158)」であり、それは
  「小さな頃から本物の文化芸術に触れる」ことでしか育てることができない。

3. 先進国の国民として、殆どの日本人の中にある無意識の優越意識をどうやって
  解消していくのかということで、最も難しいのがこの寂しさなのではない
  だろうか。
  メディアが流す情報やネットに溢れる情報の中に、嫌韓や嫌中、無邪気な日本
  礼賛が多く含まれているのが気になりますが、これはどんな教育で改善する
  ことができるのだろうか。
  個人的には、このような意識の解消とは「もっと大人」になること、即ち
  客観的に自分を見つめ、大人として行動することだと感じますが、何故、
  日本人の振舞いが「子供っぽく」見えるのか、その訳を考えてみたいものです。

平田さんは「コミュニケーション教育(P.236)」が大切と指摘し、演劇を通した教育事例について触れているものの、具体的にどのようなものなのかは本書に書かれていないように思う。平田さんの別著「わかりえないことから」の副題に「コミュニケーション能力とは何か」とあるので、そこにヒントが隠されているかもしれません。

下り坂をそろそろと下る

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| すうさん | 08:48 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
経度への挑戦

緯度(緯は織物の横糸のこと)は北極星を見上げる角度と等しいことなどから知ることができますが、経度の方は簡単ではないようで、デーヴァ・ソベルさんの「経度への挑戦」は、経度を知る上で必要となる正確な時計(クロノメータ)を作り上げた英国人大工ジョン・ハリソンの物語。

経度は太陽南中時刻(日時計の影が一番短くなる時刻)を異なる2点で観測し、その時間差1時間が経度差15度として求められるので、船がいる場所での時刻に加えて基準となる場所(例えば経度が分かっている出港地)での時刻を知る必要がありますが、振子時計の場合、船上の揺れ、気温や気圧の変化、緯度と共に変化する重力などの影響で動きが不安定になり、基準となる場所で合わせた時刻は航海中に大きく変化してしまうという問題がありました。

1714年に定められた経度法に盛られた、正確に経度を求める方法に与えられる2万ポンドの賞金を目指し、ジョンが11歳年下の弟ジェームズ、長男のウィリアムと共にH-1(1735年完成、重さ34kg)からH-4(1759年完成、直径13cm弱の円形、重さ1.4kg)、更にはH-5(1770年完成)まで5台のクロノメータを創り出すことになるのですが、それを妨害する輩もいて、ようやく賞金を得た1773年にはジョン・ハリソンは80歳。将に「時計作りに命を捧げた殉教者」の物語です。

英国を訪れる機会があれば、ロンドン郊外グリニッジの国立海事博物館に展示されているH-1からH-4(海事博物館の学芸員たちは敬意をこめてこれらの時計を「ザ・ハリソンズ」と呼ぶそうな)、ロンドンのギルドホールにある時計博物館に展示されているH-5と、グリニッジ天文台の屋根に設置された報時球(タイム・ボール。報時球が落ちるのを合図に時計を合わせたそうで、今でも13時に落とされるそうな)は是非見てみたいですね。

経度への挑戦

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| すうさん | 08:40 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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