木遊びメンバーから教えてもらった、黒木博士の「Physiological essay on Gulliver's Travels(ガリバー旅行記についての生理学的小論、The Journal of Physiological Sciencesに掲載)」を読みました。
ガリバー旅行記小人国部分にある記述「小人の身長はガリバーの1/12で、ガリバーは小人1724人分の食事を必要とした」に対して黒木先生は次のように指摘しています。
1. ガリバーの身長は「less than 6 feet」だったという記述と、18世紀の英国に
おける成人男性の平均身長の推定値は1.71mだったという研究結果から、
ガリバーの身長を1.71mとし、ガリバーと小人のBMIが同じ23だとすると、
BMI=体重(kg)/身長(m)^2(2乗の意)から、ガリバーの体重は67.3kg、
小人の体重は0.47kgと計算できる。
2. 更に「必要なエネルギー量は体重の3/4乗に比例する」というKleiberの法則から
ガリバーが必要とするエネルギー量は小人の1724人分ではなく42人分と計算される。
なお、身長比が1:12であれば体積比は1:1728(12の3乗)であり、原著にある
1724人分は計算ミスであろう。
なるほど。しかしですよ、ご飯茶碗の容積を180ccとした場合、小人用のご飯茶碗は0.1cc、42杯分は約4.4ccであり、これでは食べた気がしません。黒木先生の計算のどこかに可笑しな部分があるのではなかろうかとネット検索したところ、次の情報を得ました。
1. BMI=体重(kg)/身長(m)^2という計算式は、身長の低い人では数字が
小さくなるので肥満を過小評価することになるなどの問題があるために、最近
改良が進んでいて、2013年にはBMI=1.3x体重(kg)/身長(m)^2.5という
計算式が提唱された(Wikipediaより)。
2. 必要エネルギーと体重の関係は対数目盛グラフで直線となるという純粋な
べき乗則に沿ったKleiberの法則は最近見直され、小型生物を多数含むデータ
セットを用いると2/3という指数が導き出され、大型生物を多数含むデータ
セットを用いると3/4という指数が導き出される傾向があると示唆されている
(natureasia.comより)。
とすると、黒木先生の指摘は次のように見直すことになります。
1. BMI=1.3x体重(kg)/身長(m)^2.5を使えば、ガリバーが必要とする
エネルギー量は小人105人分と計算される。
2. 必要エネルギーと体重の関係を2つの指数で計算し直してみると、ガリバーは
小人40人分となり、黒木先生の計算と大きくは違わない。
ここまで考えて悩んでいたところ、同じ木遊びメンバーから、絵本「ゾウの時間とネズミの時間」には185人分と書いてあると連絡があり、同書を借りて読むこととしました。結果は別記事にて。
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